MAGNETIC INDUCTION
MAGNETIC INDUCTION
アルニコの着磁はすべて同じと思っていませんか?
実際は意図した磁束密度を均質に得る事は、同極がそれも長さ違いで何本も並立するシングルコイルピックアップに於いては安易ではありません。エレクトリックギターの黎明期には原始的で非能率的、時間とコストでは不利な直流式の着磁機が用いられていました。ところがエレクトリックギターが一般化するのと同時期に着磁機の主流はパルス式に変わっていきました。一瞬で着磁を終了できるこの方式はやがてほとんどのファクトリーで主役となってしまいました。確かに製造コストの軽減には大きく貢献したパルス式ですがどうしても均一な磁束密度をもたせるには旧式な直流式に二歩も三歩も譲らざるを得ません。さらに、ヴィンテージ・ピックアップに使用されているアルニコ・マグネットは、作られた当時から現在に至るまで、ゆっくりと磁力が下がっています。また、それはヴィンテージ・トーンを形成する重要なファクターでもあります。経年変化による減磁量は、マグネットやピックアップの構造、ピックアップの使われ方によっても大きく異なります。
一般的な交流式の着磁機では、構造上飽和着磁(その磁石が着磁出来る限界)しか出来ません。特別な直流式の着磁機を磁気機器メーカーに相談して製作してもらいました。これだと、着磁する際の電流量と時間をコントロールすることで、様々に減磁した状態のマグネットを作り出すことが出来ます。しかし、いったんフル着磁した後に再び磁力を落としていくので、かなり手間がかかります。【56LOM】完璧を期すために形状のフラットな裏面からの着磁を施します。磁極に関しても50年代モデルのキャラクター形成に大きく関係する異方アルニコの特性を生かしたN極トップを採用しています。